宗教画の発生、の話。

大学院の授業潜り込みは、相変わらず続いております。
今日は相棒の眼鏡をお留守番させてしまったので、潜っているのに最前列に座ってしまいました。。


さてさて、宗教画のお話に少しずつ入ってきました。


宗教画というと、皆さんどんなものを思い浮かべるでしょうか。
こんなものでしょうか。

≪善き羊飼い≫、不明、4世紀、ラヴェンナ
それとも、こんなものでしょうか。

≪受胎告知≫、レオナルド・ダ・ヴィンチ、1472-1473、ウフィチィ美術館


最初にお見せしたものは、宗教画が誕生したての頃のもので、
二枚目はルネサンス時代にダヴィンチが描いたものです。
同じように見えて色々異なり、また色々異なっているようで同じに見えますね。


なぜ時を経て、宗教画にこのような変化が生まれたのか。
簡単に言えば、そんな内容の授業を受けています。
そんなお話を、少しずつゆっくりしていきたいと思います。


宗教画の役目は、一言でいうと、信仰の道具。
それを二つに分けると、「礼拝対象」・「布教手段」ということになりまする。
(この二つについては、また後日の説明を参照して下さい。)


あれ?礼拝対象?
確か、世界史で「偶像崇拝」という言葉を習ったかと思います。
キリスト教は、キリストを形にして再現することを許さなかったはずです。
つまり、偶像崇拝を禁止していたはずでは。。。
キリストを絵に描いてそれを拝んだら、偶像崇拝ではないのでしょうか。


結論から言うと、偶像崇拝ではないのです。
絵に描かれた人物は「神(キリスト)と私達の仲介人」だと捉えられ、特定の人物を指していないと考えられています。
4、5世紀頃は、特にこの「特定出来ない人物」が描かれた宗教画が多かったようです。
例えば、さっきお見せした一枚目の宗教画とか。


それともう一つの役割。
それは、記号・サイン・標識としての役割です。
例えば、この絵。

≪(無題)≫、不明、270年前後、プリッシラのカタコンベ(ローマ)
この絵も、特定の誰かを指していたわけではありません。
「この場所では手を掲げ、お祈りをする」場ですよ、という標識のようなものでした。
ふむふむ。


つまり、まとめると、
宗教画の役割は、礼拝対象とはいっても、、、
1.あくまでも「神と私達の仲介」をしてくれていて、
2.そして、ここで「お祈りをする」のだと示してくれる
そんなものだということです。


でも、やっぱり偶像にしていると言えるんじゃないの??と思う方もいるでしょう。
実は、ここにその疑問を少し解消してくれるような会話をしている子たちがやってきました。
ユニちゃんとポリちゃんの会話を少し聞いてみましょう。
時代は、3、4世紀頃、ギリシア神話ローマ神話が支配的な中で、ユニちゃん達がキリスト教を布教しようとしている頃です。


ユニ「ねぇ、何でギリシア神話とかローマ神話とか多神教では神を形にすることが恐れ多くないの?」
ポリ「それはね、ゼウスはこんなおじいちゃんで、ヘーラー女神はこんな美人さんですよ、って形にしてくれないと神様がいっぱいで分からなくなっちゃうんだもん。」
ユニ「そっかぁ!一神教キリスト教では神は一人(?)だから、わざわざ形にする必要がないのよねぇ。」
ポリ「なるほどね。でも、今ユニちゃんはキリスト教を布教しようとしているよね。だったら、どんな神なのか見せてくれないとよく分かんないよー。」
ユニ「うーん、、、そっか。じゃあ、しょうがないから、偶像「らしきもの」をつくることにするわ。」


ということなのですね。
ユニちゃん、ポリちゃん、有難うございました。(友情出演)


とりあえず、ここで区切ります。
読んで下さった皆さま、お疲れ様でした。



ちゃんちゃん☆