ウィスパーボイスなんて、の話。

ウィスパーボイスなんて大嫌い
ウィスパーボイスなんて大嫌い
そんな言葉、なくなればいいのに。


ウィスパーボイスなんて大嫌い
ウィスパーボイスなんて大嫌い
そんなもの、この世にないよ。


というポエトリーリーディングでも
日本語ラップでもない何かが
あたしの右の目力から生まれ、
左の小指から滴り落ちているのです。

十二単の6枚目、の話。

あたしにとって、
十二単の6枚目が一番大事だとして、
それがあなたにとって何の意味があるのでしょう。


それでも、それがあたしだし。


整形は絶対しないけど、
お化粧がまた少し増えてく矛盾を抱え、
やっぱり あたしは今のあたしで勝負に出ます。

何だか不当な、の話。

せっかく眠りについたのに
そこから追い出され、外の世界で
時間を潰さないといけないなんて
何だか不当な扱いを受けている
そんな気がするの。


あたしは ここにいたいのに
たまに身体にいたずらをされ
暇をもて余し、手持ちぶさたで
外の世界を旅する時があります。

お早めにどうぞ、の話。

魚のうろこでできたさかずきで
盛大なる乾杯、とひそひそ声の乾杯を
1回ずつ行うと、その晩餐会は始まりました。


さかずきの中は、岩水なのです。
あたしの、あなたへの気持ちがにじみ出る
そんな岩を昨日の登山で発見しました。


にじむような、湿っぽいような、
日が当たり生温かいような、
岩独特のひんやりさを持っているような
触ると気持ちよさそうだけど、
どういうわけか手を拭きたくなる
そんな染みの痕にならないうちに、さあ早く。

血色のいい舌も、の話。

ずっと前からあたしのことが好きだったんだ。


あたしのその涙の味も、血色のいい舌も。
よく人の言葉を勘違いする
その思い込みの激しさも。


いつから好きだったかって?
最初から最後まで誰にも遭遇しなかった
あの大型展覧会に行った日の時点では
確実にあたしのことを想っていたよ。


持っているファイルに収まらない
賞状や証明書はハサミで切っちゃう
その頃からは さすがにまだ
あたしの魅力には気づけてなかったけど。
でも、その頃から
あたしのことをずっと気にかけていたよ。


今、こんなふうにあたしの近くで
お互いを見せあいながら語らえるなんて
まるで夢みたいなんだよ、あたし。


あたし、あたしには
世界で一番幸せになってほしいんだよ。


そして、
その時、隣にあたしがいたら嬉しいな。

強い女の子、のランキング。

あたしの強い女の子ランキング、発表します。


1位、は
望まれる女の子像とその子には重なりがあるのに
それに気づいていない女の子です。
時折 頭上をふわふわ舞う大きなはてなを、
雲のようなチョウチョを飼っています。


2位は、望まれる女の子像と
その子の重なりがあることを知りながら
その片鱗を惜しまず さらけ出す女の子です。
自覚的であることはエネルギーが要ります。


3位はアラレちゃんです。
このランキングの特別ルールとして、
3位は1位よりもハイランクと見なします。
トランプゲームでスペードの3は
ジョーカーに勝てるわけだから。


4位は早く寝る女の子です。
手を宙にかざしては世の中の波を
すべて その子の手前でピタッと止め
その子だけしかいない空間で
ぐっすり眠りにつきます。


5位はというと、
好き嫌いなくたくさん食べる女の子です。
今度は世の中すべての波を
その子に引き寄せては分け隔てなく
全部を同じように愛でては
その子の中に取り込んであげるのでした。