しっぽを持たない人間は、の話。

もったりした感情が身体に追いつかず。
身体のモーションから2、3歩遅れて、心が頭を悩ませ、
今どんな気持ちなのか確認しようとするけれど、
その頃に、身体はもう次の動きに取りかかっている。


しっぽを身に付けるというのは、
こういう感覚なのだろうか。
なめくじのように動くこのもったりした感情は、
先を行く身体の動きを慌てて追いかける
しっぽの仕草そのものだ。


同じ身体の一部かと思っていたけれど、
しっぽの正体は感情を司る心なのかもしれない。
(身体と心は独立している、としたら)


だから、しっぽを持たない人間は、
どこか心ここにあらずな日常を送り、
心ない言葉を人に浴びせてしまうのだろう。


と、その謎に想いを巡らせてみたものの、
しっぽに流れる時間と身体に宿る時間。
その時差を流れる何でもない瞬間、の
正体を知るのはしっぽを持つ動物だけだ。