無重力に放り投げるおまじない、の話。

あなたの魔法は、あたしを揺さぶり、
あたしがあたしでいるために、それだけでなく、
あたしがあなたを大切にするために大事にしている欠片たちを
無造作に四方八方に散乱させ、
あたしからあたしをどんどん引き離していく。


その重力の逆らいは、あたしのことも
あなたのことも、全てを透明にする方角へ誘い出す。
ただひとつの心残りを地上に残して。


あなたを同じ無重力に放り投げるおまじないを
まだ編み出していない苦しさのきらめきだけが、
全てを透明にする魔法を突き破り、その惑星を青く染めている。