血の通ったドローンを、の話。

あなたはきっと持っている。


体肉をほんの少しつまみ、
それを粘土にして作り上げたドローンを。
うろたえてしまうほど ひんやりしてるけど、
血の通った悪気のないドローンを。


それはいつだって空気の一部。
そして、それはいつだって
あたしたちが黒丸に見えるほど
遥か彼方からあたしたちを見守っている。


それなのに、それはいつだって
あたしたちのくたびれた身体と哀愁の交差点を、
あたしたちのからっぽな瞳と一筋の期待の混じり合いを、
いつだって いつだって見逃さない。


あたしは今、まとっている全ての羽衣を脱ぎ取り、
あなたのドローンに見つけてもらえる日を
密かに強引に今か今かと待ち続けています。


舟越桂さん