隠し味が入った編集、の話。

新刊、出ます。
村上春樹1Q84
http://www.shinchosha.co.jp/murakami/
オーウェルは今後もずっと言及される人になるのでしょうか。すごいことですね。「1984」のレスポンス作品(になっているかどうかは分かりませんが)ということで、時代を超えた二人の巨匠がつながることは見物です。

最近、村上さん良さの一つは何にインスパイアされたかきちんと明確に示しているところじゃないかなあと感じます。そういうことが出来る人間は自分を客観視出来るわけで、その能力って特に創造活動をする際に有効でしょう。それが分からずに作品をつくっている人、あるいは分かっているけど気づいていないふりをする人は、何かの真似っ子に過ぎないのです。そういう意味で、また村上さんは非常に真面目な方なのですね。

それと同時に、そういう提示が出来る彼は創作家としての自信も非常に持ち合わせている人だと思います。村上流のアウトプット方法は、誰から譲り受けたものではなく、自分だけのものを持っているのです。これは、卵と壁ではなく、中身と器でいう、器づくりの才能だと思います。この器づくりに関して、編集、という作業だけではなく、その編集したものに「何か」を加えているのが村上スタイルなのだと直感的に感じます。ただの編集ではない作業。ただ、その隠し味が何だか分からないのですが。。。

いずれにせよ、実際、著名になった今、むしろ村上さんがどの作品をどのように解釈しているかは読者の関心の的ですし、そこから読書の幅を広げた読者は私だけではないはずです。これからも村上さんのような作家さんには、自分のアイディアの源泉をどんどん公開してもらいたいものですね◎