和傘をひらいてはとじる、の話。
あたしがあなたを好きになる以上に、
あたしはあたしを好きでいないと、
あなたはあたしを好きになってはくれないから。
でも、あたしがあたしに夢中になってしまえば、
もしかしたらあなたじゃなくてもいいのかもしれない、と、
そのことに気付いてしまうことが怖いのです。
あなたはそんなちっぽけな人間じゃない。
そう証明するために、あたしはどんどん世界を狭くしていく。
これ以上、新しい出逢いも景色も笑い声もいらないと。
こうして、あたしはどんどんつまらない人間になっていき、
あなたはどんどんあたしに興味を持たなくなるのです。
だから、あたしはあなたのためだけに、
あなたを煙たがり、あたし自身と戯れる。
あたしの、鼻につく無邪気さも、
あたかも自分しか見ていないような傲慢さも、
全てはあなたのためなのです。