とじた和傘を少しひらいて、の話。

はたまた、あなたを心に残しておきたい
あたしの欲望のためなのでしょうか。


そうなのだとしたら、


あたしはあなたを通じてしか
浮き彫りにならないあたし、が見つめることで
はじめてそこにいると確認できるあなた、にしか
生かされていないのかもしれない。


そうなのだとしたら、
あたしはそのようにしか生かされていないのだとしたら、
あたしが隠し持つ、複数の世界の中に、
あなたとあたししか生息しない世界が確実にあり、
そこで互いを認め合った瞬間に、
あたしは命を奪われるのです。