トッピングを添えた建設工事、の話。

いつか、好きな人を、
モニター越しに、スクリーン越しに、
液晶パネル越しに、水槽越しに。
一枚、の反対側から見守りたい。


その一枚があるだけで、
あなたは あたしにそわそわして、
鋭く挑発的な刺激と認めてくれる。
肝心なのは、向こう側の何かではなく、
その一枚、の存在だということを無視しながら。
手に入らない、を餌に、飽きは遠ざけられる。


簡単に「つながれる」今のあたしはというと、
穴埋めや隙間潰しに補てんされる。
元からあるジグソーパズルのピースではなく、
予備として付いてくる(別の類いの)一枚の台紙で、
都度、自在な形に切り取られ、押し込まれる。
手持ちぶさたな片手を暇させないように、
私の手は生え伸び、お胸は丸みを帯びているのです。


あたしが口から吐き出せるモスラの糸は、
なぜかあなた相手には薄い膜すら張れなくて、
それはあなただけなのだけど、どんなあなたもすり抜けてくる。
去っていく時、何の手土産も持たずに。


*****


それでも、この文字列は弱音でも降伏宣言でもなく、
アイドルになりたいというトッピングを添えた
建設工事のお知らせ、であり、あたしへの励ましなのだから。
この右手と左手に揃った指たちを皮切りに、順番に、
あたしの心身を奪還していく旅に出る連絡でもあるのでしょう。