幻を本気で歴史に変える、の話。

あたしがあなただと思っていた人は、
どうやら まったくあなたではなくて、
あたしがあなただと思い込みたい誰かだったようでして、


でも そうなると、あたしが密かに心で温めていた
あなたが好きなあたしの魅力、はもう行き場がなくなり、
呼吸もできずに窒息してしまうしかありません。


あなたが あたしを見つめる時に目を細めるのは、
何か愛らしいものを眺めているからではなく、
そのようにしてピントを合わせないと、
あたしのことが ぼんやりにしか見えないからなのです。


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あなたの長い夢のエンドロールに滑り込み、
あなたの長いため息が始まる寸前に、
あたしとあなたは すれ違っていたという幻を
あたしは本気で歴史に変えようとしているようです。