ひとりごと

図々しい背伸び、の話。

ひらがなを一文字一文字並べていく。 音符を一つ一つ連ねるように。 ただそれだけで、あたしは 世の中に起きるあらゆる絶望に ふわっとしたときめきを添えられる。 そんな図々しい背伸びをしています。

とにかく止まらないスイカの種、の話。

あたしがあたしを許す、という受け入れは、 他のどんな包み込みよりも生温かく、 極上の心地よさを飛ばしてくるから。 ひとたび こじ開けた出口の先端では あたしのめるみほしきさが たまらず疼き、 決して速くはないけれど、とにかく止まらずに あたしにあ…

無重力に放り投げるおまじない、の話。

あなたの魔法は、あたしを揺さぶり、 あたしがあたしでいるために、それだけでなく、 あたしがあなたを大切にするために大事にしている欠片たちを 無造作に四方八方に散乱させ、 あたしからあたしをどんどん引き離していく。 その重力の逆らいは、あたしのこ…

あなた、から始まる文章でしか、の話。

あなた、から始まる文章でしか 世界を切り開けないあたしなのだけど。 こんなことも言ってみる。 あたしに会いたくなったら、ここに来てほしい。 あたしよりも、あたしらしいあたしが、ここには いる。 あなたの視力がしおれてしまうぐらいに、 ここの世界を…

まだ指揮者にはなれなくて、の話。

さみあもにょるは、もうガラクタ箱に入れたのだよ、と あたしの口の左側の喉奥から聞こえてきた 過去のぼやきは、腹話術のいたずらだったのか。 最近は あたしの中の めるみほしきな感覚が、 ひょんな刺激を受けても再現されるようになりました。 とある宣告…

「案外、存在、と名付けてもいいな」、の話。

あなた、を想像するだけで。 普段はとろけそうで役立たずな あたしの輪郭は濃くなっていく。 あたしの肉体は空間のここからここまでを占めているのだと、 明確に指示された図面が脳内に投影される。 それは頼りなくちっぽけに見えることが多いけど、 時に「…

甘ったるい甘ったるさ、の話。

目を閉じながら、とことこ歩いていたら、 どういうわけか、ここに辿り着いていたのだけれど、 ここに残しておきたい落書きの中身は、 その道中に落としてきたみたいです。 何も書かなかった、という覚え書き。 を綴った後に、ふと気付いたのは、 あたしが求…

トッピングを添えた建設工事、の話。

いつか、好きな人を、 モニター越しに、スクリーン越しに、 液晶パネル越しに、水槽越しに。 一枚、の反対側から見守りたい。 その一枚があるだけで、 あなたは あたしにそわそわして、 鋭く挑発的な刺激と認めてくれる。 肝心なのは、向こう側の何かではな…

約束は、の話。

約束は覚えられている限り、続くもので、 人が何かを忘れてしまうことは 責められることではないから、 覚える、なんて能力は特に役に立たなくて、 もし いいことがあるとしても、 それは約束した相手が喜ぶ何かであって、 自分を慰めることには繋がらないで…

水鳥が気まぐれに、の話。

話したいことなんて話せたことないし、 伝えたいことなんて見つかったことがない。 あたしは いつも。 つい そんな不満を込めては、 流れゆく会話を濁し、淀ませる。 その汚れた川に映るあなたの顔を 水鳥が気まぐれについばむ時だけ、 あなたの口元は笑顔の…

あなたの魔法の足、の話。

あたしの好きな人、はやさしくて。 耳が聞こえなくなるその直前まで、 全身を金魚すくいの網に見立て、 聴覚以外の感覚器も応援に駆け付けさせ、 あたしのがさがさ交じりで、ぼそぼそした ごにょごにょの行く末を見守ってくれるのです。 どんな音も言葉も、…

キスの音の数だけ、の話。

あたしは、あなたが好きで、 あなたも、あたしが好きだとして、 でも、あなたの好きなあたしは、 あたしが認めたくないあたしだとしたら、 それって別の人のことが好きなのと同じこと。 と言い切れるほどの幼さもいつの間にか消え失せ、 あたしが一番差し出…

笑顔の魔法を知らないから、の話。

楽しいことをまっすぐ楽しいと楽しめないあたしが、 身近に並べておきたいものは、間違いなく、 あたしを心の底から笑顔にする何かではなく、 全身が脈になってしまったんじゃないかってぐらいに、 生きていることを圧迫感で知らしめてくれる、そんな何かな…

届かない確認作業、の話。

世界は二番以降で彩られる。 一番好きなものなんて存在しない。 一番大切な話は聞いてもらえないし、 一番大事なことは決まって伝わらない。 それらはすべて手元に留まる。 あたしは自分が大切ではないから、 それらをわざわざ一番、と順位付けするのは あた…

その割には、の話。

恵まれなかったこの容姿やセンスに、 頭脳や気質や自信のなさを抱えている割には、 よくここまでやってきたものです。 それは、ただただ、周りの人たちが、 あたしが浸かっていていい居場所を どういうわけだか空けておいてくれて、 その場所から見上げる空…

見られない自分の背中、の話。

ほんとはね、全部ウソなのです。 ほんとのこと話しても、 あれもこれもあなたは全部 あたしの思惑とは違うかたちに、 グニャグニャにして飲み込むから、 だから、最初からウソを教えるのです。 そしたら今度は、言葉どおりに受け取るなんて。 あなたはあたし…

ギブ&ギブ、の話。

好きでたまらないから愛を注ぐのではなく、 どんなにどんなに気持ちを与えても、 嫌な顔ひとつせずに受け入れてくれるから、 好きでたまらないのです。 地球の底が抜けるぐらい、 ずっと一方的に愛を捧げて、 あなたをこらしめたいだけなのです。

あたし以外の女の子、の話。

あたし以外の女の子は、みんな可愛くて、 あたしがどんなになりたいと望んでも なることができない憧れの存在なのです。

切り刻まれた一瞬のかけらに、の話。

人との距離感がつかめず。うろたえる時の振動が、 足元の地盤を静かに揺るがしては表面を崩していく。 予期せぬかたちで声をかけてきては、 あたしの髪に手ぐしを一度だけ通し、 跡形もなく人混みに吸い込まれていったのはあなた。 取り残されたあたしの頭に…

会話のダストボックスに吸い込まれ、の話。

周りから聴こえてくる会話に耳をそばだてると、 どのやり取りも物語みたいに一風変わっていて、 同じ会話には一度も遭遇したことがない。 (だからこそナショナル・ストーリー・プロジェクトは 成立するわけであります) 共通するのは、お会計を割り勘するやり…

ホワイトデーに自主的な約束を、の話。

昨日のホワイトデー。 バレンタインにあげたことがないお方から ミルクキャンディしか入っていない 大きな大きな、大きいのに可愛らしい 木箱をもらいました。 今時ホワイトデーにキャンディをあげる方が まだ居てくださったなんて、それだけで、 あたしは救…

沈みゆく光景ばかりをスケッチ、の話。

この世に心の特効薬なんかなくて、 それに近しい音楽ですら、 聞き出した途端、終わってしまう瞬間が 待ち受けていることに怯えてしまうから、 余計に不安が増してしまう。 前向きなことを書こうと思えば書けるけど、 あたしにとっては結局のところ無臭無味…

落ち込みは性的なうずうず、の話。

電車とホームの隙間。 普段は何でもなく見えるのだけど、 たまに吸い寄せられるような気持ちになり、 何かの入口のように思えてくるのです。 でも、それは何かを終わらせたいとか、 きっとそういう深刻な話ではなく、 その狭い隙間をくぐり抜けるのは 窮屈で…

出来事なんてもったいない、の話。

あたしに悲しい出来事なんてもったいない。 どうせ悲しみ切れないのだから。 あたしに楽しい出来事なんてもったいない。 どうせ楽しみ切れないのだから。 感情という感情が皮膚から滲み出すのを恐れていたら、 いつの間にか感情を露に出来なくなりました。 …

空っぽな可愛さを添えて、の話。

世の中に正しいことなんて何一つないのに、 人の言うことにいちいち傷付いてしまうし、 人の言うことにいちいち勇気付けられてしまう。 あたしは人を傷付けたくなければ、 人を不必要に勇気付けたくもない。 ただの空っぽな可愛さを添えて、 そこに立ってい…

和傘をひらいてはとじる、の話。

あたしがあなたを好きになる以上に、 あたしはあたしを好きでいないと、 あなたはあたしを好きになってはくれないから。 でも、あたしがあたしに夢中になってしまえば、 もしかしたらあなたじゃなくてもいいのかもしれない、と、 そのことに気付いてしまうこ…

とじた和傘を少しひらいて、の話。

はたまた、あなたを心に残しておきたい あたしの欲望のためなのでしょうか。 そうなのだとしたら、 あたしはあなたを通じてしか 浮き彫りにならないあたし、が見つめることで はじめてそこにいると確認できるあなた、にしか 生かされていないのかもしれない…

月明かりに「下書き」の影絵を、の話。

あらゆるところに「下書き」を溜め込んでいる。 ブログも、SNSも、携帯のメモ機能も、日記帳も。 そこは、ゴミ袋なのか、宝箱なのか、 はたまたブラックホールなのか。 いずれにせよ、あたしの本当のもやもやには、 地上で花咲かすことを選ばせずにいたら、 …

言葉はいつも想いが足りない、の話。

言葉はいつも想いが足りない。 「そんなに頼ってこないでよ」と 言葉はしかめっ面でこっちを見る。 どんなに限りなく相応しい表現を選んだって、 その容れ物には収まらないどろどろがいる。 でも、そのどろどろこそが、 一番伝えたい、届けたい、 無くてはな…

絡まるあやとりの糸、の話。

今は、激しく自分を突き上げる感情と向き合いたい。 感情の起伏が激しくない、いつ会っても朗らかな人は、 周りから好まれ、いつでも人に囲まれているから、 きっとそれもひとつの正解、なのだと思うけれど。 今は、その時期じゃない。 然るべきタイミングに…